前回、採用ペルソナを「共通言語」によって定義し、面接官でイメージを統一することの重要性について書きました。それをしっかり行っても、面接官によって大きく評価が分かれてしまうことはありませんか?
人が人と接するときは、「アンコンシャス・バイアス」=「無意識の思い込みや偏見」が働くと言われています。同様に、面接でも面接官の経験や感性が作用し、バイアスが働きます。
そのバイアスの一つである「類似性バイアス」について、面接官のタイプ別に解説します。
1.「類似性バイアス」とは?
2.人の主観はどれほど違うのか?あなたはどっち?
3.グリーンタイプ面接官とオレンジタイプ面接官の陥りやすいバイアス
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4.自分と真逆のタイプの見方トレーニング
→次回:優秀な内定者の内定辞退を防ぐには
「類似性バイアス」とは?
「類似性バイアス」とは、自分と似たタイプの人を好意的に評価し、異なるタイプの人を評価しにくい傾向のことをいいます。
例えば、「考えるよりまず動くタイプ」の人は、無意識にそれが正しいと思い、つい「動く前に熟考するタイプ」の人を批判的に見たり、行動力がないと評価を下げてしまったりします。その逆も同じです。
もし、同じようなタイプばかりが必要な組織であれば、このバイアスは必ずしもデメリットとは限りません。短い面接時間の中で、経験を活かして直感的に早く判断できるメリットもあります。
しかし、組織に多様なタイプの人が必要で、公正に客観的に判断しなければならないのなら、バイアスは出来る限り取り除く必要があります。
人の主観はどれほど違うのか?あなたはどっち?
上の図は、人の心理の違いを表した一つの例です。
凸凹があったときに、ある人は、穴を埋めて均等にしようと考えます。このタイプは「できないところ」「苦手」「不足」に着目し、それを克服し、全体を均そう、底上げをしようを考えます。弊社の診断ではこのタイプを「グリーンタイプ」としています。
ある人は、穴はそのままでいい、高いところをもっと高くしようと考えます。このタイプは「できたところ」「得意」に着目し、それをさらに伸ばそう、そこではほかの人には負けない!と考えます。弊社の診断ではこのタイプを「オレンジタイプ」としています。
グリーンタイプ面接官とオレンジタイプ面接官の陥りやすいバイアス
仮に、コミュニケーション能力について3つの評価項目が設定されているとしましょう。
(ここではシンプルに解説するために、会社が何を重視しているかは無視します)
グリーンタイプ面接官の頭の中
① 受け答え方がしっかりしているか
→「聞いたことに対して的確+正確で、誠実に答えているし◎!」
② 伝わりやすい話し方か
→「相手に分かるように論理的に回答しているし◎!」
③ 周囲の学生と積極的に会話しているか
→「自ら話しかけて、ちゃんと傾聴する姿勢・協調性もあるし◎!」
これは一例ですが、グリーンタイプ面接官は上記のようなポイントで無意識に高く評価する傾向があります。自身がグリーンタイプで、次のオレンジタイプのほうを読んで「?」と思う方は要注意。類似性バイアスが働いている可能性があります。
評価項目は全く同じですが、その解釈は次のように違うかもしれません。
オレンジタイプ面接官の頭の中
① 受け答え方がしっかりしているか
→意思をしっかり持っていて、ハキハキ自信を持って答えていて◎
② 伝わりやすい話し方か
→相手に分かる表現で手短に回答していて◎!
③ 周囲の学生と積極的に会話しているか
→いろんな子に気軽に話しかけて、好奇心・関心が外部に高そうで◎!
オレンジタイプ面接官が上記のような評価を無意識にしていると、結果的にオレンジタイプ応募者が高く評価されやすくなります。これが類似性バイアスなのです。
自分と真逆のタイプの見方トレーニング
バイアスを取り除くために最も重要なことは「自分の見方はバイアスがかかっているかも」と自己認識することだと言われています。自分がどんなタイプで、どんな考え方になりやすいか、どうあるべきだと思いやすいか、その傾向を知ることが第一です。
次に、類似性バイアスの場合は、自分と真逆のタイプに対する「見方」をトレーニングするのも効果的です。上図のように、つい批判的に見えてしまう側面を「プラス」に転じてみるトレーニングです。そのために必要なのは身近な真逆のタイプの観察です。
真逆のタイプは、どんな風に成果を出しているか観察し、それを受け入れることで、真逆のタイプへの見方が自然と肯定的になり、類似性バイアスが働きにくくなります。
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類似バイアス等の無意識のバイアスを取り除くために、仕組みを導入するのも1つの方法です。
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